入れ歯の選び方と保管方法①

入れ歯は高い品質・精度のものであれば、長持ちする特徴で知られています。

では、どのようにして入れ歯を選べばよいのでしょうか?

本記事では、入れ歯の選び方と保管方法について2回にわたって詳しく解説します。

入れ歯のイメージ

入れ歯の選び方

入れ歯を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

歯科医師の経験と専門性

入れ歯は高度な技術と知識が必要です。

かみ合わせというのは中々難しいもので、ただ上下の歯がかちかち当たっていれば大丈夫、というものではありません。歯学部の中には咬合理論と義歯作りだけ専門に研究している「補綴学」という分野があります。

また、義歯作りの過程や、咬み合わせの調整などは、言葉ではなかなか表現しがたい微妙な勘所(かんどころ)やコツがあり、歯医者の長年の知識・経験が生きるところです。

信頼できる歯科医師の経験と専門性を確認しましょう。入れ歯の専門的なトレーニングを受けているか、経験の多い歯科医師を選ぶことが重要です。

歯型採取の精度

入れ歯の作成には正確な歯型が必要です。入念な歯型採取(印象採得といいます)を行う歯科医師を選びましょう。精度の高い歯型が作成されれば、入れ歯のフィット感と快適性が向上します。

既製品の型取り皿(トレーといいます)に、印象材(やわらかい型取り材)を盛って型取りをすることもできます。しかし、歯の欠損の状態や顎の形は人それぞれなので、ある程度大きな入れ歯の場合は、それぞれの人に合わせたカスタムメイドの「個人トレー」というものをレジン(プラスチック)で作ります。

個人トレーにアルジネート印象材や、より精度を求める場合はシリコンゴムの印象材を使用して、精確な型取りをします。

型取りの際には、ただトレーを口の中にいれるだけではなく、口唇やほっべたの粘膜、舌などを色々引っ張ったり、動かしてもらって口の中で動く部分(可動部分)と顎の骨の裏打ちがあって動かない部分の境目を上手に写し取ります。これを“筋形成”といいますが、入れ歯の安定性と“痛くない入れ歯”作りにとって、大切な工程です。

入れ歯の材質・種類

一般的な保険診療による義歯の素材は「レジン」というプラスチックの一種です。軽くて補修がしやすい、保険が利くので安価、などの特徴があります。強度はそれほど強くないのである程度の厚み(1~2mm程度)が必要です。人によっては厚ぼったくて邪魔な感じがしたり、熱の伝わり方が少し遅れるので、熱いもの・冷たいものを食べたときに違和感を感じ

ることがあります。

上あごや下あごの歯肉の土手の部分を金属の薄いプレートで作る「金属床義歯」というものもあります。(人工歯を並べるところや、見えるところはレジンを併用します)

強度が高いので薄くすることができ、熱の伝わりも早いので違和感は少なくなります(なくなるわけではありません)。ただし、保険が利かない自費診療になります。

 

上記の2種類の義歯は、(総入れ歯以外)入れ歯を安定させるために残った歯に金属のツメ(「クラスプ」といいます)を引っ掛けます。これが糸切り歯(犬歯)などにかかっていると少し目立つので、嫌われる方はおられます。

金属のツメが目立つのを気にされる方には、「クラスプレスデンチャー(ノンメタルクラスプデンチャー)」という入れ歯もあります。

金属のツメを使わずに、入れ歯本体をレジンやナイロンなどの弾性のある素材で作り、その弾性を利用して、残っている歯のくびれや隙間(アンダーカットといいます)にカチッと入り込んで安定をとります。

レジン床義歯と同じくらいの厚みはありますので、同程度の違和感はありますが、金属は見えません(維持のためにかみ合わせの面に1mm四方くらいの金属が露出することはあります)。またこのタイプの義歯も保険が利かない自費診療になります。

その他、義歯を安定させるために金属のツメをつかわず、残った歯の根と義歯に磁石を埋め込んでくっつける方法(磁性アタッチメント)や、インプラントを利用して義歯を安定させる方法などがあります。

詳しくは、歯科医師に相談してみましょう。

入れ歯のデザインの選択

入れ歯では、自然な見た目と口腔内での快適性が重視されます。デザインの選択肢を確認し、自分に合ったデザインを選びましょう。

顔の形や唇のバランスを考慮したデザインが重要です。口元の自然観(やけに口元が前に飛び出してしまったり、笑ったときに歯や歯肉が見えすぎると品の無い感じになります。また反対に口元がくぼんだり、歯が見えなすぎると老けた印象を与えます。)、顔の中心線を義歯に反映させます。

このあたりは歯科技工士さんが、歯型をみただけではわからない部分ですので、歯科医師がきちんと把握して調整することが大事です。

クリニックの施設設備

入れ歯は高品質な素材や装置を使用して作成されます。クリニックの施設設備が整っているか確認しましょう。最新の技術や設備を備えたクリニックであれば、より高品質な入れ歯が提供される可能性が高いです。

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